見終わったあとに残ったのは、
誰かと比べず「自分だけのペース」で生きる心地よさと難しさ…かな〜。
最初に見たときは20代だったので、自分よりまわりの人たちの人気と北欧ブームの方が印象的だったけど。40代になった今見ると「中年女性の生きづらさ」そこからの解放感みたいなテーマが描かれた映画だったのかなーと思ったり。
『かもめ食堂』、久々に見ても、
あいかわらずかわいくて面白かったです。
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「かもめ食堂」(prime video)
www.amazon.co.jp

同世代になってみると、20代の頃より見え方が違ってくるな…
「かもめ食堂」の空気感、おにぎり、女性たちの三者三様キャラ。
「かもめ食堂」といえば・・・

北欧ブームを巻き起こした空気感。
飯島奈美さんの名前を知ったきっかけでもあるほど、美味しそうなおにぎり!
でもって三者三様の「中年女子」たちのキャラ!
最初に映画をみた当時(2006年ですって。約20年前!)は、最初にも書いたけど20代だったので。
今映画を見て感じる「背景にある40代50代女性の抱える"閉塞感"」は、"当時"あったものかは想像でしかないのだけど。
でもなんというか、「かもめ食堂」がブームになったことで、
「中高年の女性」というラベリングの中に、「中年女子」みたいなカテゴリーが生まれたような気がするというか。
『かもめ食堂』を見終わって心に残ったのは、
なんというか「母」であったり「妻」であったり「介護」だったり「独身女性」だったり、今でいうケア労働みたいな中年女性の抱える閉塞感から解放されて楽しんでもいいじゃん、みたいな。そういった解放感みたいなのを感じて。
当時はあまりそこのメッセージに気づいてなかったかも。
印象的だったシーン&セリフ
マサコさんの武士道み。
映画の中でもひときわ印象的な存在感キャラのもたいまさこさん演じるマサコさん。
食堂の前から中を睨みつけ続けていた老婦人が、とある日食堂に入ってきて強いお酒を煽り、まわりにも飲めと突きつけてきたとき。受けてたつマサコさんの武士道的なカッコよさが最高だったー。
3人のキャラの中ではやっぱり"マサコさん"にいちばん惹かれるのだけど、どこがと言われると、その武士道的な動じなさの部分なのかもしれないなー。そもそもロストバゲージのトラブルから始まって。つきつけられるものに対して無表情のまま飄々と受け入れていく(しかも楽しんでる)という強さは、自分にない憧れの部分でもあるなと。

うちの夫も、まさにこのタイプだなー。武士道!
サチエさんの「変わっていく」のセリフと、合気道ルーティン。
小林聡美さん演じるサチエさんもあまり動じない側のキャラ。
私自身は、おそらくミドリさんのキャラに意図的に表現されてる「ちょっと偏見のある保守的な価値観で、反射的なりアクションをしてしまう」という部分がいちばん近くて、それが反省点でもありコンプレックスでもあるのだけど。。。
サチエさんの「何事も変わっていくもんですもんね…いい感じに変わっていけるといいですよね」というセリフもすごく印象的で。
変化を、肯定しすぎるでも否定するでもなく。起こるものとして捉えつつ、あくまでその流れのなかで、ベターを願うスタンス。
そこには、サチエさんの寝る前の習慣、合気道ルーティンもあるのかもなと。
マサコさんには先天的な「変化を受け入れる・楽しむ質」を感じるのだけど、それに対して、サチエさんには「変化を受け入れるぞ…という後天的な決意」を感じるというか。自分自身の意思と継続的な努力によるものというか。
そう考えると、、、、
サチエさんの寝る前の合気道ルーティンは、あとでコーヒーマシンを盗みに忍び込む前店主を撃退(?)する流れにつながる布石エピソードぐらいに捉えていたのだけど。むしろ日頃からの努力で、心身ともに体幹を鍛えて体得しているしなやかな価値観ということなのかもしれないなーと。見ながら襟を正したくなる。。
いちばん自分に近いミドリさん
マサコさんやサチエさんに対して、自分にいちばん近いキャラとしては、
雰囲気はいちばん印象が強いのに、いちばん保守的で中庸的な価値観のミドリさん。
- 自分を変えたいと思いどこかに違う場所に行きたいと思う(他力本願)
- 役に立ちたいと動くんだけど、空回りがち(動機が承認欲求)
- 反射的なリアクションをしてしまいがちで、やや偏見を含む保守的な価値観
↑これは、ミドリさんへのディスではなくて、
どちらかというと見てると沸き立ってきてしまう自分自身のコンプレックス。
独身女性の生きづらさ、みたいな部分で当初はミドリさんの共感のほうが強かったかな。
おむすびを握るシーン
生まれも育ちも年齢も抱える背景もバラバラ、全然違う3人の彼女たち
そんな三者三様なのに、コーヒーマシン騒動のあとみんな息をするように当たり前のようにおにぎりを握ってる。握れる。
なんだかそういうのも、よく考えるとちょっと不思議というか。なんかいいなと思う。
何かが一段落したら、または何かが始まる前に、「おにぎり」だよね。
特別な存在。
ミドリさんの「ニョロニョロって電気を食べるんですよ」からの「みんな何かを食べないと生きていけないんですね」というサチエさん。
そうニョロニョロでさえも。
食べるっていうのは、時代も背景も文化もあらゆるものを超越して「生物である限り」の絶対的な「共通点」。
「食」はつながる鍵だし、理解しあう鍵でもある。
そこが「かもめ食堂」のいちばんのテーマではあるよね。好き。
「ぼーっとすることは難しい」
「ぼーっとするのって、けっこうむずかしくないですか。」「むずかしいですよね。つい、いろいろ考えちゃいますもんね。」という会話も出てくる。そこに「フィンランドには森があります」という豚身昼斗念。

森はなくても、隙あらば、ずっとぼーっとしていたいな・・・
まあむしろ、その「いろいろ考えちゃう」というのがボーっとするのの醍醐味かなー。
まあ、心配事や悩んでることを「いろいろ考えちゃう」のはしんどいけど。
まとめ、自分との重なり・気づき
旅をするのが好きなのですが。
旅の醍醐味のひとつとして、解放感というか肯定感というか。
誰かとの比較とかの関係値とかそうした「相対的な価値」からの「人の目」からの解放というか。その旅で感じる醍醐味に近い"空気感"を感じる映画だったなーと。フィンランドの北欧ブームの世界観もめちゃかわいいし。
あと、重なりや気づきとしては、
やや偏見から逃れられない保守的な価値観に縛られて、つい反射的なリアクションをしてしまいがちな自分自身のコンプレックスと、逆にそこからの気づきとして「反射的に表情には出したりせず動じない・それでいて変化を楽しむ」というスタンスへの憧れがあるんだなと自分自身への発見があった。なかなか難しいけど、他者にも自分に対してもニュートラルでありたいなというのが、自分としても生き方のテーマかもしれないなと思った。

人生100年でいくなら、まだまだ折り返し手前だしね〜。
少しずつ変わっていこう!