wowow「カラフル」観た
本屋大賞を獲った別の映画の放送記念らしく。
同じ監督の旧作、カラフル(2010) がWowowでやってたのを夫が録画してくれてて、一緒に観る。
冴えない特徴のない絵柄の主人公。
物語は、天国でとある魂が転生するところから始まる。転生先は「自殺した少年」。それがこの中学生の少年コバヤシマコト。コバヤシマコトとして手探りながら進むストーリー。天使なのか…転生を導いてきた謎の大阪弁少年プラプラがコバヤシマコトの補足情報をナビゲーションしながら少しずつ状況が広がっていく。
少年は美術部で。友達はどうやら一人もいないらしいのだけの、クラスメイトでもあるこの癖のあるメガネ少女が何かとからんでくる。同じ美術部らしい。(転生した中の人はちょっと少女を下に見たりする)手前の少女は、コバヤシマコトが密かに憧れる後輩なのだけど、自殺の直前に、この少女に関するショックな目撃をしてるらしい。byプラプラ情報
父と母と兄のこの家族も、自殺から生き返ったコバヤシマコト少年との接し方を戸惑いギクシャクしてる。そしてそれなりの事情もあったりして。お兄ちゃんはマコト少年と違って勉強優秀な受験生。
そしてクラスメイト。
そんなちょっと特殊な設定こそあるものの、、。
そこからストーリーは何か起こりそうで…んんん???という雰囲気で中学生の日常が進んでいく映画。でも…なんだろう…なにか気になる…なんだろう、という思いで見ていくと、、、
観終わってみた感想は、
なんというか、なかなか良かった!!!!
小さいシーンの小さい表現が良いというか。
ストーリー自体も謎みたいなのがあって気にはなるもののすっごく派手なドンデン返しやトリックがあるとかそういうのではないものの。
「演出」がいい、というか。
例えば、全体の筋とはあまり関係ない小さな演出なんだけど。家族でちょっと涙ぐむシーンがあって、お兄ちゃんが無言でティッシュを差し出すんだけど、、、流れで自分も…と手を伸ばすんだけど、ないがいろにされてしまうお父さん(VC:高橋克実)の哀愁とか。そういうなんとも言えない感じのリアル感とか。なんかめちゃグッときたというか。小さな動作や仕草がひとつひとつ丁寧でリアル。
そういう小さな仕草のリアルさが積み重なった地層があるからか、、、。映画やストーリーとかにはよくドラマティックな家族・友達の青春やら感動やら非日常的なキラキラが溢れてるけど、、、。でも、実際の現実ってこんなもんだよな、というか。そういうリアルさに気付かされる。
親友やら友情やら青春やらには、そういうキラキラしたストーリーがあるもんだとなんとなく信じてたというか思い込んでたというか。だったんだけど。現実では別に「友達」はドラマティックな絆で始まるものでもなかったりするし、たまたま近くにいた…ぐらいのものだったりする。
家族だって、無償の愛やかけがえいのない存在なんていうキラキラした神話信仰みたいなものより、関係を維持するためにはやっぱりあくまで努力する必要がある人間関係という方がリアルでしっくりくるというか納得感がある。
友情も家族も「一緒に接した情報量」を土壌の養分にして関係が咲いていくんだなーということが、しみじみ気づきになったというか。
大人になったからこそ感じる「こんなもんだよな」を、子どもたちもこうしたストーリーを通して目にする機会をたくさん持つことで、救われたりすることもあるんじゃないかなというか。
いろんな形、いろんな現実、いろんな価値観を届ける作品というか。なんかグッときて心に残る作品でした。